幻になった泡盛へのオーダーペイント【泡盛倉庫×mim drawing】

こんにちは。
半年前には予想もしていなかった世の中になってしまい、あちこちからネガティブな情報で疲れてしまっている方も多いと思います。
そんな時は目を閉じて深呼吸。
大きな変化の時ですが、明けない夜はないと一緒にできることをやっていきましょう。

mim drawingでも目の前の日常が続いていることに感謝しながら、できることを考えながら事業をなんとか続けていきたいと思っています(^^)

と言うことで、ボディーアートの施術はお休みしていますが、ありがたいことに「オーダーペイント」の依頼をいただいております。今回はそのオーダーペイントの第一弾についてです。

幻になった泡盛へのオーダーペイントのきっかけ

きっかけは、2020年2月に那覇のイベントバーエデンにて行った「ボディーアートBAR」というイベントです。バーエデンの向かいのお店「泡盛倉庫」の店主比嘉さんが泡盛のボトルを持ってきて「絵を描いてほしい」と依頼をしてくださいました。

実は話を聞いた最初は、依頼をお断りしようと思っていました。(今までボディーアートがメインで、酒ビンにどんな画材を使ったらいいか、完成のイメージができなかったからです)しかし、比嘉さんの泡盛に対しての熱意やボトル自体のデザインの美しさを知って、チャレンジしてみようと思いお受けすることにしました。

幻になった泡盛とは

沖縄県民にはとても身近なお酒である「泡盛」。うちなーんちゅは「しま〜」とかよびますね。初めて飲んだお酒は泡盛といううちなーんちゅも多いと思います。色んな酒造所の泡盛がありますが、今回の泡盛はこんな経緯で再び世に出たお酒です。

幻になった泡盛、
限定復活への狼煙。

沖縄県宮古島の狩俣地区にあった小さな泡盛【千代泉酒造所二〇一三年に諸事情により休業泡盛生産はストップ惜しまれながら二〇一八年に廃業となりました。

地元住民に親しまれ飲み継がれていた「千代泉酒造所の泡盛」は世の中から姿を消してしまったかに思われましたが廃屋となった酒造所の蔵にわずかに残った泡盛を発見そのお酒に新たな命を吹き込みつつ泡盛文化を見つめ直すプロジェクトが始動しました。

限りある千代泉酒造所の泡盛を泡盛ファンはもちろんのこと世界中のアルコールファンへ。
それは貴重な泡盛を飲むというだけではなく泡盛を通して物語を楽しみ豊かな文化に触れるものとなれば幸いです。

〜誇酒プロジェクト 代表 比嘉康二〜

ー誇酒プロジェクトサイト 幻となった泡盛 より引用ー
誇酒プロジェクト https://kosyu-pj.jp/

 

酒造所に眠ったまま、そのまま海に流してしまうかもしれなかった泡盛。「一生味わうことができなかったかもしれない」と考えるとそれだけでも興味が湧きますね。

元々は「千代泉(ちよいずみ)」という名前のお酒でしたが、名前やラベルにも権利などがありそのまま「千代泉」として出すことができなかったとのこと。

 

そのためリネームされた名前は、「31/32」。

これは泡盛を貯蔵するためのタンクにふられるタンクナンバーからとって名づけられたそうです。(なんか色々とセンスありすぎ!(TT)「31/32」について話している動画がありますので、ぜひ見てみてください。)

 

「31/32」のテーマは「命」。

限りある泡盛、終わりを迎えてしまった蔵元へ想いを馳せずにはいられません。

 

ボトルのデザインも美しい「31/32」

「31/32」のストーリーもすごいのですが、アーティストの観点からの話をさせていただくと、「ボトルの美しさ」についても知って欲しい!

泡盛倉庫の比嘉さんから「お酒はラベルを貼らないといけない決まりがあるのだけれど、「31/32」は正面から見た時にラベルがまったく見えないようにボトルがデザインされている」と説明を受けて、正面から見た時はかなり衝撃を受けました。

元来の泡盛のデザインはゴテゴテしているイメージがありますが(それもそれで沖縄らしさがあって好き)、「31/32」は余分なものが削ぎ落とされたデザイン。

「ラベルの白が消えて、シンプルなお酒の名前とどこまでも透明なボトル。」という感じ。

動画や写真を撮り忘れてしまったので(すいません 笑)、誇酒プロジェクトのサイトの写真でその美しさをチェックしてもらえると嬉しいです(^^)/

誇酒プロジェクト

 

31/32へ描いた想い

ここまで思いのこもった泡盛で、完成されたデザインに何を加えたら良いのだろうか…?とかなり悩みましたが、私が得意とするヘナデザイン(植物や神様などをモチーフにするヘナタトゥーらしいデザインのこと)をベースにして描き始めることにしました。

花をテーマに描こうと決めたら自然と出てきたモチーフは、「月下美人」(げっかびじん)。一晩しか咲かない花で、限りがある「31/32」を味わう一晩の貴重さとリンクしたからです。

夜にしか咲かない花、この在庫が尽きるまでのひと時しか味わえない泡盛「儚ない美しさ」の意味合いを込めて描きました。

【月下美人】
enladさんによる写真ACからの写真
花言葉:はかない美、はかない恋、あでやかな美人

 

そしてもう一つ描いた植物は「ヒスイカズラ」。
ビンの正面から月下美人が咲き誇った絵が見えて、正面からは見えない横顔にも華やかさをもたせたいと考え色んな草やツルなどを考えた結果、月下美人と一緒に夜に咲いても見劣りせず幻のような妖しい美しさを持つヒスイカズラを描くことにきめました。花言葉の「私を忘れないで」も理由の一つになりました。

【ヒスイカズラ】
ラッキーエースさんによる写真ACからの写真
花言葉:私を忘れないで

 

そして、31/32オリジナルボトル完成

モチーフが決まった後も、
・どんな画材で描くかの検討
・正面からみえる裏面の幅を測り構図を考える(中の液体を通ると拡大されて見えるため)
・練習用のボトルに実際にインクをつけてみて発色の確認
・正面からの絵を邪魔しない程度の描く範囲を確認
と自分が納得するイメージができるまで時間がかかりました。

特に、描く範囲については正面からみた美しさを邪魔したくないと思ったので、ほんの少し横顔もあることを匂わせる程度に描きました。

 

そうして約3週間ほど、ウンウン唸りながら描きあげた完成品がこちら!

正面

 

裏面

ぐるっと一周回した動画は載せれなかったのでTwitter動画で!

https://twitter.com/drawingmim/status/1251855793697075205?s=21

 

泡盛倉庫さんへ引き渡し

たくさん時間をかけた分、ボトル自体にも愛着が湧き始めていましたが、もっと多くの人に「31/32」のオリジナルボトルを見て楽しんでもらおうと心に決め、比嘉さんに引き渡しをしてきました。

ボトルを見せて感想をいただくまでは緊張していましたが、比嘉さんから「美しい。新しい命が吹き込まれた!」と言っていただき一安心。

これからは、「31/32 mim drawingのオリジナルデザインボトル」として、泡盛倉庫のお客様の目を楽しませることができたら嬉しいです。

 

最後に、泡盛倉庫とは

泡盛倉庫は、沖縄で作られている800種類をこえる貴重な泡盛を原価でおたのしみいただける泡盛専門BARです。(会員制)

泡盛の魅力を伝えるために各SNSでも日々情報の発信もされています。

 

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比嘉さんが代表を務める「誇酒」プロジェクトもぜひ。

ホームページ:誇酒プロジェクト

誇酒プロジェクトとは、琉球王朝時代から続く泡盛文化を通し多くの方「泡盛の魅力を楽しんでいただける。泡盛の価値や歴史を丁寧に見つめなおしみなさんと一緒に泡盛の道を探求するプロジェクトです。

 

私はあまりお酒が飲めず、泡盛は数える程しか飲んだことがありませんが、泡盛の歴史や酒造所の思い、泡盛自体の味わいなど泡盛を愛している店主の比嘉さんに教えてもらいながら飲む泡盛は、今までの泡盛と全く違ったものになるのだろうなと思います。

ボトルへのオーダーペイントを通して新しい世界を知ることができて、とても面白かったです。泡盛倉庫の比嘉さんありがとうございました(^^)